『鴻風楽舎』〜「尺八広場がいや」から

アクセスカウンタ

zoom RSS 末の契巣ごもり/思い・想いの尺八曲

<<   作成日時 : 2015/09/09 06:00   >>

トラックバック 0 / コメント 0

 末の契巣ごもりは1800年頃に作曲された地歌「末の契」の手事のあとに、三絃の巣ごもり地(鶴の巣ごもりを表現したもの)による尺八変奏を挿入したものです。
 巣ごもり地はけっこう長くて、間奏のようなので、「入れ子」といわれる部分です。
 二世古童の原案にはじまり、三世古童が形を定着させ、五世古童が作譜をするとともにCDに収め、発行(2011年)しました。
 原案では前歌の後に本曲独奏が入れ子になっていましたが、この部分は三世古童からは外されたそうです。
 このように、元になった曲に「入れ子の手」を付け加えたものは、尺八では「八千代獅子巣ごもり」や「松上すごもり」があります。

 昔から地歌箏曲の世界では三絃曲に箏の手を付けたりと、いろいろな工夫をして演奏者も観客もともに楽しみました。
 私は五世古童師に師事したおかげで、この曲を教わりました。
 しかし、巣ごもり地は演奏者がその人なりに創作するものであって、残された譜や音源で、そのままに演奏するものではないとのこと。
 このことは五世古童師からも聞かされました。先人の尺八家に対して畏敬の念を覚えるものです。


 通常の「末の契」のように箏・三絃・尺八の演奏で始まり、前歌を終えて手事に入ります。
 何ごとも起きないように先に進み、最後の掛け合い(三絃と箏・尺八が応答するように交互に演奏すること)が終わると、いよいよ「巣ごもり」の演奏に入ります。
 箏はこの演奏の間は休んでいます。三絃は少し休んでから(というより、音を止めておいて)、尺八のバックとして「巣ごもり地(ツルテン)」だけを演奏し続けます。
 この間、尺八は「コロコロロ」やムラ息を使ったりしながら縦横に「巣ごもり」と思わせる演奏を独奏のように演奏するわけです。
 そして後歌の少し前から、三絃・箏・尺八は通常の演奏に戻り、何ごともなかったかのように後歌に入り、終曲します。

 私は温習会と第6回地歌箏曲を楽しむ会(郡山市公会堂)で計2回演奏しました。
 その2年前にお稽古を始めましたが、技量不足を感じて中断。1年後に再びお稽古を始めて、10ヶ月後くらいに演奏しました。
 
 巣ごもりではいつ停まってしまうかと、内心ハラハラするなと思って演奏を始めましたが、演奏中はとてもそんなことに思い至る余裕はなく、ただひたすらに吹き進むだけでした。
 演奏の出来はどうあれ、終わると肩の荷も下りて、今までのお稽古を続けた自分を褒めてやりたい気持ちにもなりました。
 こんな経験はあまりありません。自分を追い込み、真剣に向き合い、真摯に取り組む姿勢を与えてくれた大曲でした。


 歌詞は、思いのままにならない恋を荒波にただよう小舟にたとえ、苦しみに耐え忍んで、末は嬉しい夫婦の契を結ぼうとうたっています。
 幽玄で、上品のうちに渋みがある旋律です。
 三絃作曲は松浦検校。箏作曲は八重崎検校。 低箏作曲は浦崎検校とも聞きます。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
末の契巣ごもり/思い・想いの尺八曲 『鴻風楽舎』〜「尺八広場がいや」から/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる